こんにちは。
今回は中小企業者が設備投資した場合に使える税制を確認したいと思います。
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目次
中小企業経営強化税制とは
本制度は、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営向上計画に基づき、一定の設備を取得や制作等した場合に、即時償却又は税額控除が選択適用できるものです。
これだけ見ると、「で、どういうことや?」となりますね。
難しい言葉ばかり並べて内容がさっぱりわかりません。
簡単に言えば「税金少なくしますよ。」ということです。
簡単にしすぎました。笑
税金を少なくするには手続きが必要になります。
一つずつ確認していきましょう。
税制を使える対象は誰?
適用対象者は、①青色申告書を提出する中小企業者等
中小企業者等とは
・資本金又は出資金の額が1億円以下の法人
・資本金又は出資金を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下の法人
・常時使用する従業員数が1,000人以下の個人事業主
・農業協同組合等(中小企業等協同組合、出資組合である商工組合及び商工組合連合会等)
ただし、以下の法人は対象外になります。
・大規模法人(資本金又は出資金の額が1億円超の法人もしくは資本金又は出資金を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人超の法人)から2分の1以上の出資を受ける子会社
・2以上の大規模法人から3分の2以上の出資を受ける子会社
②①の者で、中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けた者
経営力向上計画は、人材育成、コスト管理等のマネジメントの向上や設備投資など、自社の経営力を向上するために実施する計画で、認定された事業者は、税制や金融の支援を受けることができます。
この経営力向上計画の認定の受けかたは後で説明します。
設備投資はなんでもいいのか?
なんでもよくはありません。どういったものかというと大きく2つに分類されます。
生産性向上設備(A類型)と収益力強化設備(B類型)です。
生産性向上設備(A類型)
下の表の対象設備のうち、以下の2つの要件を満たすものです。
①一定期間内に販売されたモデルであること(最新モデルである必要はなし)
②経営力の向上に資するものの指標(生産効率、エネルギー効率、精度など)が旧モデルと比較して年平均1%以上向上している設備であること ※ソフトウェアについては、情報収集機能及び分析・指示機能を有するもの
以下は対象設備で各設備の種類、用途、取得価額、販売開始時期になります。
機械装置だと160万円以上でないと対象にならないということです。
取得価額は、設備本体の価額だけでなく、引取運賃や購入手数料、内部取付費用などの合計金額です。(A類型・B類型ともに)
単品の取得価額は、一単位として取引される単位ごとに判定するが、機械装置の本体と同時に設置する自動調整設置又は原動機のような附属機器で本体と一体になって使用するものがある場合には、付属機器を含めたところにより判定することができます。(A類型・B類型ともに)
リース資産も所有権移転ファイナンスリース取引(リース期間終了後所有者が借手になること)については対象になります。(A類型・B類型ともに)
中古設備は対象になりません(A類型・B類型ともに)
収益力強化設備(B類型)
下の表の対象設備のうち、以下の要件を満たすものです。
年平均の投資利益率が5%以上となることが見込まれることにつき、経済産業大臣(経済産業局)の確認を受けた投資計画に記載された投資の目的を達成するために必要不可欠な設備
年平均の投資利益率は、次の算式によって計算します。
「営業利益+減価償却費(※1)」の増加額(※2)/設備投資額(3)
※1 会計上の減価償却費
※2 設備の取得等をする年度の翌年度以降3年度の平均額
※3 設備の取得等をする年度におけるその取得等をする設備の取得価額の合計額
以下は対象設備で各設備の種類、用途、取得価額になります。
A類型とB類型の違い
一番の違いは、A類型には投資する設備の販売開始時期があることです。
要するにA類型は、古すぎる設備は適用できないということですね。
また、B分類では計算式により投資利益率を具体的な数字として出さなければなりません。
そのほか、用途も多少の違いはありますがほぼ同じです。取得価額はどちらも同じです。
どの事業でもいいのか?
業種は指定されています。以下が指定事業です。
どれか一つに該当すると対象になります。
電気業、水道業、鉄道業、航空運輸業、銀行業、娯楽業(映画業を除く)等は対象になりません。また、風俗営業等の規則及び業務の適正化等に関する法律第2条第5項に規定する性風俗関連特殊営業に該当するものを除きます。
期間はいつまで?
期間は、平成31年3月31日までに、対象設備を取得等して指定事業の用に供することです。
経営力向上計画の認定の受けかたはどうすればいい?
認定の受け方は生産性向上設備(A類型)と収益力強化設備(B類型)で違います。
生産性向上設備(A類型)の場合
1.設備メーカーに証明書の発行を依頼します。
2.1で証明書を受けた設備を経営力向上計画に記載し、証明書(写し)を添付して、主務大臣に計画申請をします。
3.2で主務大臣に認定を受けた後、設備を取得します。なお、税務申告の際は、所定の書類を添付する必要があります。
以下が手続きの手順になります。
収益力強化設備(B類型)の場合
1.投資計画を策定して、その内容を税理士又は公認会計士に事前確認してもらう必要があります。
2.所在地を管轄する経済産業局に投資計画と共に1の事前確認書を持参・説明します。
3.2で確認を受けた設備を経営力向上計画に記載し、確認書(写し)を添付して、主務大臣に計画申請をします。
4.3で主務大臣に認定を受けた後、設備を取得します。なお、税務申告の際は、所定の書類を添付する必要があります。
以下が手続きの手順になります。
細かい手順などは中小企業庁のホームページで確認できます。
どれだけ税金が少なくなる?
設備の取得価額の全額を経費にできる即時償却又は取得価額の10%の税額控除(資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%)が選択適用できます。
即時償却は経費を増やすことです。税金を直接減らすことではありません。
税額控除は名前のとおり税金から控除することができます。
税務申告での手続きは?
個人事業主の場合
・即時償却の場合、青色申告決算書の「減価償却の計算」の「㋬割増(特別)償却費」の欄に即時償却の額を、「摘要」の欄に特例名(措法10の5の3)を記入すること。
・税額控除の場合、「明細書」を確定申告書に添付すること。
法人の場合
・即時償却の場合、法人税の確定申告書に「特別償却の付表」と適用額明細書を添付すること。
・税額控除の場合、法人税の確定申告書に「別表」と適用額明細書を添付すること。
まとめ
ここまで長々と書いてきましたが、「この制度使う人おる?」と思うくらい手間がかかります。
実は中小企業経営強化税制以外にも、設備投資の制度があります。
事前手続もないものもあります。
次回は違う設備投資で使える税制を確認していきたいと思います。
こちらもどうぞ→設備投資で使える税制その2(中小企業投資促進税制)